「お世辞の一つも言えないようじゃダメだ」――上司の一言から落語『子ほめ』の話になったとき、うまくついていけましたか?「知ってますよ」と頷きつつ、内心「どんな話だっけ…」と焦った人も多いはずです。
『子ほめ』はただの前座噺ではありません。テンプレ(型)を丸暗記して、状況に合わせられないと逆効果になる――コミュニケーションの落とし穴を笑いで見せてくれます。
この記事では、3分であらすじを整理し、なぜ八五郎が失敗するのかを“構造”で解説します。雑談で使える一言も用意しました。
『子ほめ』あらすじを3分解説【ネタバレあり】
お世辞のテンプレを教わった男が、応用できずに失言を重ねる滑稽噺です。

起:お世辞の極意を学ぶ
暇を持て余した八五郎がご隠居を訪ね、「お世辞で酒やご馳走にありつく方法」を教えてほしいと頼みます。隠居は「赤ん坊が生まれた家で、こう褒めるんだ」とテンプレを授けます。
承:さっそく大失敗
八五郎は意気揚々と赤ん坊のいる家へ。ところが焦って、褒め言葉の順番や相手を間違え、失言を連発してしまいます。
転:二度目も勘違い
懲りずに別の家へ向かう八五郎。今度は年齢の確認を誤り、相手の年齢と自分の年齢を取り違えるなど、状況がさらにややこしくなります。
結:とどめの失言
70歳の主人と45歳の息子を前に、八五郎はテンプレのまま言い切ります。
「いやあ、お子さん(45歳)は、お父っつぁん(70歳)に似て本当に若々しい!」
当然、相手は激怒。八五郎はまたしてもご馳走にありつけません。
なぜ八五郎は失敗した?「正解」と「不正解」の違い
八五郎の問題は記憶力ではありません。テンプレ(型)を“目的”にしてしまい、相手を見ていないことです。

- 正解:相手(誰に)・状況(いつ)を見て、褒め方を変える
- 不正解:セリフだけを守って、状況を無視する
つまり八五郎は「何を言うか(What)」は覚えたのに、「誰に(Who)」「なぜ(Why)」を落としてしまった。ここが笑いの核心です。
『子ほめ』は他人事じゃない:手段が目的化する怖さ
研修で習ったトークスクリプトを、顧客の状況を無視して読み上げる。マニュアルのチェック項目を満たすことが目的化して、本来の目的(相手の満足)を見失う――これ、職場でも起きがちです。

『子ほめ』は、「型」を否定する噺ではありません。型は便利だが、状況に合わせられないと危険という教訓を、笑いで伝えています。
関連:構造で笑う落語
明日から使える:雑談で“通”ぶれる一言
社内で「マニュアル通りにやったのに裏目に出た」みたいな話が出たら、こう言えます。
「それ、まさに落語の『子ほめ』ですね。テンプレ通りにやろうとして、かえって裏目に出るやつ」
相手が『子ほめ』を知っていればニヤリ、知らなければ説明する流れが作れます。
まとめ:お世辞(会話)の本質は「相手を見る」こと
- あらすじ:お世辞テンプレを教わった八五郎が、応用できず失言する
- 笑い所:理想(教え)と現実(実践)のズレ。相手を見ない滑稽さ
- 教訓:「何を言うか」より「相手を見て、なぜ言うか」
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