「まずい、紙入れ(財布)を落とした」――それだけで背筋が冷えるのに、この噺はなぜか最後に笑ってしまいます。
『紙入れ』のあらすじとサゲ(オチ)の意味が知りたい方へ。本記事では3分で物語の全体像と、「なぜ“取りに行けないのに行く”状況が面白いのか」を整理します。
この噺の芯は、浮気の是非ではなく、証拠(紙入れ)ひとつで人が追い詰められ、言い訳と勘違いで場がズレていくところにあります。読み終えた頃には、「サゲがどこで決まるか」を筋道立てて語れるようになります。
『紙入れ』のあらすじを3分解説【結末ネタバレあり】
まずは骨格を最短で頭に入れましょう。『紙入れ』は、店のおかみに誘われた男が紙入れ(財布)を落とし、翌日それを取り返しに行くことで、全員の立場が微妙にズレていく噺です。
ストーリーのタイムライン
- 【起】「今夜おいで」の誘いに乗ってしまう
出入りの男が、店のおかみから「亭主が留守だから」と誘われる。迷いながらも家へ上がり、酒まで出されて、引き返しづらくなる。 - 【承】帰ってくるはずの亭主が戻ってくる
そこへ、戻るはずのない亭主が帰宅。男は大慌てで逃げ出すが、肝心の紙入れ(財布)をその家に落としてしまう。 - 【転】翌朝、“取りに行くしかない”地獄が始まる
紙入れを取りに行かなければ生活が回らない。だが、堂々と聞けば昨夜の件が疑われる。男は腹を括って店へ行き、様子を探りながら紙入れの話題を切り出そうとする。 - 【結】サゲ:気づいている/いないのズレで落ちる
男は「亭主は全部気づいているに違いない」と怯える。ところが最後は、亭主の反応(または言葉)によって、男の読みがズレていたことがはっきりし、ストンと落ちる。

『紙入れ』の登場人物と基本情報
登場人物
- 男(出入りの者):紙入れを落とし、翌日取りに行く羽目になる。
- おかみ:誘いの張本人。場を動かすキーパーソン。
- 亭主:男が一番恐れる相手。気づいているのかいないのかが肝。
基本情報
- ジャンル:艶笑噺(婉曲で、会話のズレが主役)
- 鍵になる小道具:紙入れ(財布)=“証拠”にも“命綱”にもなる
- 見どころ:男のビビりと読み違いが、会話の間で膨らむ
30秒まとめ
誘いに乗った夜に紙入れを落とし、翌朝取り返しに行くことで、疑いと勘違いが連鎖する噺。笑いは浮気そのものより「読み違い」から出る。
なぜ面白い?紙入れ=「証拠」と「生活」の二重拘束
紙入れは、落とした場所が場所だけに“証拠”になり得る。けれど男にとっては、金も身分も入った“生活の道具”でもある。
取りに行かないと困る、でも取りに行くと疑われる。
この二重拘束が、男の言い回しを不自然にし、亭主・おかみとの会話にズレを生みます。ズレが大きいほど、最後の落ち方が効きます。
サゲ(オチ)の意味:最後は「恐れていた筋」と逆に転ぶ
男は終始「亭主は全部気づいていて、俺は終わった」と思い込む。だから一言一句に過剰反応し、墓穴を掘りそうになる。
ところがサゲは、その“恐れ”が外れていた(あるいは外れているように見える)形で決まります。
ここで、男の緊張が一気に滑稽へ変わり、噺がストンと締まります。

飲み会で使える「粋な一言」
✍️ 三分で効く、粋な返しのコツ
【結論】:『紙入れ』は色っぽい噺というより、「証拠を落として取りに行くしかない地獄」が会話のズレを生む噺だよね、と言うと会話が深まります。
まとめ:『紙入れ』は「小道具×読み違い」で落ちる噺
- あらすじ:誘いの夜に紙入れを落とし、翌朝取り返しに行く。
- 核心:紙入れが「証拠」と「生活」の両方になり、男が追い詰められる。
- サゲ:男の“恐れていた筋”がズレていたことで、緊張が一気に笑いへ変わる。

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この記事を書いた人
三分で深まる落語の世界 編集部
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